Objective-C の __block の参照カウンタを調査中…

と呟いたところ、本の著者さんからというお返事をいただいたので、 splhack: 『iOS 4プログラミングブック』 第5章マルチスレッド 補遺 その2 の例を自分でも確かめてみました。

という設定で上記の @ さんの記事のコード(以下に再掲)をビルドし、

#import <Foundation/Foundation.h>
#import <stdio.h>

extern const char *_Block_byref_dump(void *);

void dump(int line, int *p)
{
    p -= 4;
    printf("\ndump line:%d\n", line);
    puts(_Block_byref_dump(p));
}

int *test()
{
    __block int total = 11;
    
    dump(__LINE__, &total);
    
    void (^block_on_stack)() = ^{
        
        ++total;
        
        dump(__LINE__, &total);
    };
    
    block_on_stack();
    
    printf("\n___ Block_copy ___\n");
    void (^block_on_heap)() = Block_copy(block_on_stack);
    
    dump(__LINE__, &total);
    
    block_on_stack();
    
    block_on_heap();
    
    printf("\n___ Block_release ___\n");
    Block_release(block_on_heap);
    
    dump(__LINE__, &total);
    
    block_on_stack();
    
    return &total;
}

int main()
{
    dump(__LINE__, test());
}

Assembly を見ると、test() の最後で以下のようなコードが実行されているのが見つかります。

	.loc	1 45 1                  ## (略)/main.m:45:1
	movl	-112(%ebp), %eax        ## 4-byte Reload
	movl	%eax, (%esp)
	movl	$8, 4(%esp)
	calll	__Block_object_dispose

どうやら __block 変数の __forwarding 先の参照カウントは、Block_copy() した時にスタックからの参照分とヒープから参照分だけカウンタを増やしておいて、Block_release() 時とスコープの終わりに挿入される _Block_object_dispose() 時に減らしているようですね。

https://llvm.org/svn/llvm-project/compiler-rt/trunk/BlocksRuntime/runtime.c

void _Block_object_dispose(const void *object, const int flags) {
    // (略)
    if (flags & BLOCK_FIELD_IS_BYREF)  {
        // get rid of the __block data structure held in a Block
        _Block_byref_release(object);
    }
    // (略)
}

というわけで

という心配は杞憂のようでした。

ところで、実行してみたところ次のような出力を得ました。

dump line:17
byref data block 0xbffff9c0 contents:
  forwarding: 0xbffff9c0
  flags: 0x0
  size: 20


dump line:23
byref data block 0xbffff9c0 contents:
  forwarding: 0xbffff9c0
  flags: 0x0
  size: 20


___ Block_copy ___

dump line:31
byref data block 0x13e450 contents:
  forwarding: 0x13e450
  flags: 0x1000004
  size: 20


dump line:23
byref data block 0x13e450 contents:
  forwarding: 0x13e450
  flags: 0x1000004
  size: 20


dump line:23
byref data block 0x13e450 contents:
  forwarding: 0x13e450
  flags: 0x1000004
  size: 20


___ Block_release ___

dump line:40
byref data block 0x13e450 contents:
  forwarding: 0x13e450
  flags: 0x1000002
  size: 20


dump line:23
byref data block 0x13e450 contents:
  forwarding: 0x13e450
  flags: 0x1000002
  size: 20


dump line:49
byref data block 0x13e450 contents:
  forwarding: 0x13e450
  flags: 0x1000001
  size: 20

@ さんの記事の結果とは以下の点が若干異なっています。

  • 謎1: flags の下位 16bit の参照カウントが、Block_copy() で 4 増え、Block_release() で 2 減る
    • _Block_object_dispose() 内では flags を 1 しか減らしていないように見えるのですが…
  • 謎2: 最後の dump line:49 では参照カウントが 1 のまま
    • 参照カウントは OSAtomicCompareAndSwapInt() で減らされるので、最後はちゃんと 0 になるべきであるはず


というお返事をいただいたので libclosure-53 を覗いてみると、

http://www.opensource.apple.com/source/libclosure/libclosure-53/Block_private.h

enum {
    BLOCK_DEALLOCATING =      (0x0001),
    BLOCK_REFCOUNT_MASK =     (0xfffe),
    BLOCK_NEEDS_FREE =        (1 << 24),
    (略)
};

となっており、参照カウントは1bit左へシフトされていました。上記の結果になるのも納得です。

win-ssh-agent 1.07

win-ssh-agent を使用すると、cygwin の openssh の ssh-agent をよりスマートに利用できるようになります。

通常 ssh-agent を利用するためには、ssh-agent を起動したシェル (例: bash) からその他のプログラムを起動する必要があります。これは、ssh-agent が設定する環境変数 SSH_AUTH_SOCK を他のソフトウェアから参照できなければならないためです。

win-ssh-agent は、ssh-agent が設定する環境変数を全てのプログラムが参照できるようにしますので、特定のシェルから他のプログラムを起動する必要がなくなります。

詳しくは README-ja.txt (README.txt)を参照してください。

ダウンロード:

2011/11/02 1.07:

  • プロジェクト名を win-ssh-askpass から win-ssh-agent へ変更。
  • --hide-console オプションを削除。指定しても無視されます。
  • win-ssh-agent.exe をダブルクリックして起動したときに、コンソールウィンドウを開かないように変更。
  • openssh 5.9p1-1 のバグを回避するために、内部構造を変更
  • README の修正
  • 細かな修正

win-ssh-askpass 1.06

(2011-11-02 追記) 最新版はこちら ⇒ win-ssh-agent 1.07 - GANAwareはてな版

win-ssh-agent は X 用の ssh-askpass と同様の機能を提供します。詳しくは README-ja.txt (README.txt)を参照してください。

ダウンロード:

2011/10/14 1.06:

  • cygwin 1.7 用の修正
    • 最新の cygwin 環境でビルドできなくなっていたので修正しました
    • ダイアログボックスの見た目が Windows7 っぽくなりました
    • Unicode API を積極的に使うようにしました

メモ: Lion で Firefox をビルド

Building Firefox for macOS - Mozilla | MDN を参考に:

(1) App StoreXcode を入れる

(2) homebrew を入れる

(3) Mercurial を入れる

$ brew install Mercurial
Error: No available formula for Mercurial
Install Mercurial with pip:

    easy_install pip && pip install Mercurial

Or easy_install:

    easy_install Mercurial
$ sudo easy_install pip
$ sudo pip install Mercurial

(4) 他に必要な物を homebrew で入れる

$ brew install pkg-config
$ brew install libIDL

(5) autoconf213 を homebrew で入れる

  • その前に Lonnen から autoconf213.rb をダウンロードして /usr/local/Library/Formula/autoconf213.rb へ置いておく
$ brew install autoconf213

(6) ソースを入手

$ hg clone http://hg.mozilla.org/mozilla-central/ mozilla

(7) .mozconfig を作成

  • webm と libjpeg-turbo はとりあえず使用しないことにした
$ cat > mozilla/.mozconfig
. $topsrcdir/browser/config/mozconfig

mk_add_options MOZ_OBJDIR=@TOPSRCDIR@/obj-ff-dbg
mk_add_options MOZ_MAKE_FLAGS="-s -j4"
ac_add_options --enable-debug
ac_add_options --disable-optimize
ac_add_options --disable-webm
ac_add_options --disable-libjpeg-turbo

mk_add_options AUTOCONF=/usr/local/Cellar/autoconf213/2.13/bin/autoconf213

(8) ビルド

$ cd mozilla
$ make -f client.mk build

(9) 実行

$ cd mozilla
$ open obj-ff-dbg/dist/NightlyDebug.app

Win32 Subversion 1.5.0 からは APR-iconv は不要

Win32 Subversion は 1.5.0 以降は APR-iconv を必要としないので、APR_ICONV_PATH を設定する必要はありません。バイナリパッケージをダウンロードする時に Win32Svn (32-bit client, server and bindings, MSI and ZIPs; maintained by David Darj) を選択しインストールした場合 APR_ICONV_PATH が環境変数に設定されますが、これは不要です(メールフォームからフィードバックしておきました)。

Win32 Subversion が APR-iconv に依存しないようにしようという話は "SVN Win32 Developers -- need some help""[PATCH] Remove APR ICONV dependency on Windows" あたりのスレッドで議論され、r865724 で対策コードが commit されました。

ということで、対策コードは 1.5.0 から含まれるようになりました。



(2011-09-14 追記) David Darj から返事が来て、1.7.0 のリリースからは APR-iconv を含めないようにするとのことです。

はてなブックマーク / みたくないリンク (Google Chrome 拡張版) ver 0.3

はてなブックマーク/見たくないリンク - Chrome Web Store

私は複数マシンで Chrome を使用しているのですが、それぞれでURL情報を共有するのは結構めんどくさいものでした。

そこでエロサイトのURL情報を wedata で管理し、そこから定期的にURL情報をロードするように変更しました。


ver 0.3 から新たに拡張が外部サイトへアクセスするようになるので、0.2 から 0.3 へ自動でアップデートした場合は拡張が一時的に無効状態になるようです。Chrome の拡張は最初にインストールした時より拡張の能力が増える場合は自動的に無効になり、ユーザーに条件を確認させるようになっているのですね。

Lionへアップグレード後のHDD換装

20 日にウチの MacBookOS X を Lion へアップグレードしたのですが、その際ついでに XCodeApp Store からインストールしようとしたところ、HDD 容量不足で入れられませんでした。HDD 容量は残り 9G ぐらいしかありません。

これはいかん!

ということで、HDD を換装することにしました。モデルは MacBook 13-inch, Aluminum、Late 2008 。これをキーワードにぐぐると換装方法についてはたくさんひっかかるので省略しますが、最終的に 160G の HDD を 500G のものへ交換し、ついでにメモリも 2G から 4G へ増量したので、とても快適になりました。

さて、残る問題は元の HDD の内容を新しい HDD へどうやってコピーするかなのですが、私は Time Capsule 経由でデータを復元するつもりでしたので、事前に Time Capsule へデータをバックアップしてあります。

しかし、復元はなかなかうまくいかず時間もかなりかかったのですが、最終的に成功した手順は以下のような感じです。

  1. Snow Leopard のディスクを挿入し、電源を入れて DVD から起動する
    • DVD から起動するためには電源を入れた後しばらく "C" キーを押しっぱなしにする必要がある
  2. ディスクユーティリティを起動し、HDDにパーティションを作成する
  3. 作成したパーティションSnow Leopard をインストールする
    • この際、データの移行は後で「移行アシスタント」使うつもりなのでとりあえず何もしない
  4. Snow Leopard をソフトウェア・アップデートする
    • このソフトウェア・アップデートでApp Storeがインストールされる
  5. App Store から Lion を再インストール (料金は不要)
  6. Lion 上で「移行アシスタント」を利用して Time Capsule からデータを復元

これで、複数のアカウントを以前と同じ状態へ復元できました。

おそらく事前に Lion の起動ディスクを作成しておけば、苦労もなく簡単に復元できたのだと思います。しまったなぁ。


失敗した手順は以下のような感じです。Time Capsule からの復元に何時間もかかるので、失敗は結構痛いです。

  1. Leopard のディスクで起動し、Time Capsule から最新のバックアップを復元

⇒ 復元後に再起動すると、OS X のブート中にエラーが表示されて、停止する

  1. 上述の状態の HDD へ Snow Leopard を上書きインストール (ここまでは成功)
    • ただし、Dock 内のアイコンがいくつか表示されていない (iTunes のアイコンなど、最近更新されたもの)
  2. その後 App Store 経由で Lion へアップグレード

⇒ 再起動後、青い画面のまま先へ進まない